ズラッと並んだヨーロッパの国旗を見ていると、よくあるのが3色で構成された国旗です。フランス、イタリア、ドイツ、ロシア、ルーマニア……などなど、三色旗のオンパレード。色の順番や配置は違っても、「赤・白・青」や「赤・黄・黒」など、よく似た配色があちこちにあるんですよね。
でも、これってたまたま似てるだけじゃないんです。実はそこには歴史的な流れや時代の空気が関係していて、「3色」にはちゃんとした理由があるんです。
ヨーロッパの三色旗は、地域によって配色や意味が異なるものの、どれもそれぞれの時代背景や政治的な動きと強く結びついています。ここでは、西欧・東欧・北欧・南欧というエリアごとに、どんな三色旗が使われているのか、そしてその背景にはどんな物語があるのかを見ていきましょう。
デザイン | 特徴 | |
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フランス | ![]() |
青・白・赤の縦三色。近代国旗の祖、革命思想の象徴。 |
ベルギー | ![]() |
黒・黄・赤の縦三色。ブラバント公国の色に由来。 |
ルクセンブルク | ![]() |
赤・白・青の横三色。オランダに類似、青が明るい。 |
オランダ | ![]() |
赤・白・青の横三色(世界初の三色旗として知られ、他国の国旗に影響を与えた) |
西ヨーロッパで三色旗の代表格といえば、やっぱりフランスの青・白・赤。この旗が登場したのは1789年のフランス革命で、それまでの王政をひっくり返して「国民が国家をつくるんだ!」という新しい考え方が広まりました。
この三色は、それぞれ青と赤がパリの色、白が王家の色。つまり「市民と王が一緒に新しいフランスをつくるぞ」っていう、理想と和解の象徴だったんですね。
このデザインと理念は、すぐに周辺国にも影響を与えて、ベルギー(黒・黄・赤)やオランダ(赤・白・青)にも三色旗が広まっていきました。
デザイン | 特徴 | |
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ルーマニア | ![]() |
青・黄・赤の縦三色。ラテン文化と東欧の橋渡し。 |
ブルガリア | ![]() |
白・緑・赤の横三色。平和・自然・勇気の象徴。 |
ハンガリー | ![]() |
赤・白・緑の横三色。革命と農業国家としての自負。 |
ロシア | ![]() |
白・青・赤の横三色。汎スラヴ色の起源。 |
エストニア | ![]() |
青・黒・白の横三色。自然と民族の象徴。 |
リトアニア | ![]() |
黄・緑・赤の横三色。太陽・大地・血の象徴。 |
東ヨーロッパでは、ロシア帝国の白・青・赤の三色旗が大きな影響を持っていました。この配色はやがて「汎スラヴ色」として定着していき、セルビア、スロベニア、クロアチア、スロバキアなどの国々でも採用されていきました。
白=自由、青=信仰、赤=勇気といった意味が込められていることが多く、民族の独立や団結の象徴とされていたんです。
特に19世紀は、東欧各地で帝国からの独立運動が盛んだったので、三色旗は「自分たちはひとつだ」というアピールにぴったりだったんですね。
北欧といえば十字架旗のイメージが強いですが、実は三色構成の国旗もあります。たとえばノルウェー(赤・青・白)の国旗は、デンマークの赤白旗に、フランス革命の影響を受けて青を加えたデザイン。
ここでもやっぱりフランス革命の思想が間接的に影響しているんです。つまり、「自由」と「独立」の精神が、色の組み合わせに現れているというわけ。
北欧の国々は、宗教的な伝統を保ちながらも、近代国家としての意識を強く持っていたので、三色旗はそのアイデンティティの表現に使われていたんですね。
南ヨーロッパでは、イタリア(緑・白・赤)がフランスの三色旗からインスピレーションを受けて誕生しました。この旗は、緑=国土、白=雪、赤=独立のための血を意味しているとも言われていて、国家統一運動(リソルジメント)の象徴となっていきました。
南欧の三色旗は、情熱・土地・民族の誇りが前面に出ているのが特徴で、見た目もカラフルでエネルギーを感じさせます。
三色旗がヨーロッパで広がった背景には、フランス革命とナショナリズムの高まりが深く関係しています。
18世紀後半、革命によって王政が倒され、「国民国家」という考え方が広がっていきました。そこから国旗も「国民の象徴」としての意味を持つようになったんです。特に自由・平等・博愛を掲げたフランスの三色旗は、多くの国に影響を与えました。
三色旗って、デザイン的にもすごくバランスがいいんです。多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい。しかも、それぞれの色に意味を持たせやすいから、国としてのメッセージを伝えるのにぴったりなんですよね。
3色あることで、民族、宗教、歴史など、いくつかの要素を同時に表現できるのが大きな魅力です。たとえば「この色は王家、この色は市民、この色は自由」みたいに、国の中の多様な背景をまとめあげることができるんです。
フランスの影響で似た旗が増えたことに対して、「個性がない」と言われることもありますが、あえて似せることで「うちら仲間だよ」ってアピールする場合もあるんです。特に19世紀以降のヨーロッパでは、国際的な連帯や共通理念を国旗に込める動きも見られました。
管理人
三色旗って、ただの見た目のバランスがいいだけじゃなくて、その裏にある歴史や理想がめちゃくちゃ熱いんですね。どの色にどんな意味が込められてるかを知ると、国旗がもっと深く見えてきます。