現代ヨーロッパ国旗情報:オーストリア編

この記事ではオーストリア国旗の由来や色の意味について解説しています。赤白赤の中世伝説、ハプスブルク家の影響、独立国家としての象徴性などに注目し、国旗に秘められた歴史と誇りについて詳しく探っていきましょう。

オーストリア国旗の由来&色の意味|中世の伝説と独立の証し

オーストリアの国旗

 

国旗の基本情報

採用国 Austria(オーストリア)
採用年 1945年(第二次世界大戦後に再制定)
縦横比 2:3
デザイン
  • 赤・白・赤の水平三色旗
  • 中世から伝わる伝統的な配色で、シンプルかつ象徴的なデザイン
色の意味
  • 赤と白:伝説によれば、戦場で白い服が流血に染まり、中央だけが白く残ったことに由来
  • また、赤は勇気、白は平和と正義を象徴するともされる
備考

オーストリアの国旗は世界最古級のデザインの一つとされ、1230年ごろから使用されていた記録がある。
現在も国家と国民の誇りを象徴する旗として用いられている。

赤・白・赤の三色ストライプで構成されたオーストリアの国旗。そのシンプルなデザインは、実は世界で最も古い国旗のひとつとされているんです。ただの色の並びに見えて、そこには騎士の伝説、独立の誇り、そして中世から続く国の記憶が込められているんですよ。この記事では、オーストリア国旗の色の意味と由来、他国との違い、そして国の歴史とともに変化してきた旗の歩みをわかりやすくご紹介します。

 

 

オーストリアってどんな国?


オーストリアは中央ヨーロッパに位置する内陸国で、アルプス山脈が国土の多くを占める自然豊かな国です。首都はウィーンで、音楽や芸術、建築、そしてかつてのハプスブルク家の宮廷文化でも有名ですよね。

 

一時は神聖ローマ帝国オーストリア=ハンガリー帝国としてヨーロッパの大国でしたが、第一次世界大戦後に帝国が崩壊し、現在の共和国としての形になりました。

 

この長い歴史の中で、オーストリアの人々が自分たちの存在を示すものとして大切にしてきたのが、赤・白・赤の国旗なんです。

 

国旗デザインの意味・由来

オーストリア国旗は、赤・白・赤の横三色。とてもシンプルですが、その誕生には騎士の伝説中世の誇りが関係しています。

 

赤と白の配色は戦いの伝説から

この色の組み合わせは、12世紀のバーベンベルク家のレオポルト5世にまつわる伝説に由来しています。彼が戦いで血まみれになったとき、白い帯の部分だけが鎧の下で無傷だったという話があり、そこから赤・白・赤の配色が生まれたと言われているんです。

 

つまりこの旗は、戦いや忠誠、そして祖国への誇りの象徴なんですね。

 

白は純粋さと正義の象徴

中央のは、純粋・平和・正義を意味する色として解釈されています。血と泥にまみれても失わなかった「清らかさ」として、この白はとても大事にされているんです。

 

それは同時に、「中立国オーストリア」の平和志向とも重なります。

 

赤は勇気と独立のための犠牲

上と下のは、勇気・献身・祖国のために流された血を象徴しています。長い戦いの歴史の中で、オーストリアは何度も危機に直面してきました。そのたびに国を守る力として、この赤い色が掲げられてきたんです。

 

似てる国旗

デザイン 特徴
オーストリア 赤・白・赤の横三色。中世のバーベンベルク家の紋章を起源とし、現存する最古級の国旗の一つとされる。
ラトビア 濃い赤と白の横三色で中央の白帯が細い。オーストリアと同じような配色だが、赤の色味が栗色に近く、構成バランスにも独自性がある。
モナコ 赤・白の横二色。オーストリアと同じ配色を使っているが、中央の白帯がなく上下二分割でよりシンプルな構成となっている。
ペルー 赤・白・赤の縦三色。オーストリアと同じ色と順序だが、配置が縦方向であり、中央に国章を加える公的機関バージョンも存在する。

 

オーストリア国旗とよく似ているデザインの国旗はいくつかありますが、それぞれの意味や成り立ちは異なっています。

 

とくにラトビアとは配色が近いため混同されがちですが、赤の色合いと中央の帯の幅が見分けるポイントです。ちなみに、オーストリア国旗には国章入りバージョンも存在します(政府や軍で使用)。

 

国旗の変遷にみる国の歴史

オーストリアの国旗はとても長い歴史を持ちますが、近代になるまで「国家の旗」として正式に採用されたことはなく、時代によって皇帝の紋章や黒黄の帝国旗が用いられていました。

 

12世紀、バーベンベルク家の旗が原型

最初に赤・白・赤の配色が登場するのは12世紀のバーベンベルク朝の時代。当時の公爵レオポルト5世がこのデザインを使ったことから、“世界最古級の国旗”として知られるようになりました。

 

帝政時代は黒と黄の皇帝旗

ハプスブルク家のもとで皇帝が支配していた時代には、黒と金(黄)の二色旗双頭の鷲の紋章入り旗が使われていました。この配色は、神聖ローマ帝国やオーストリア=ハンガリー帝国の権威と威厳を表すものでした。

 

第一次世界大戦後に三色旗が復活

1918年、帝政が崩壊してオーストリア共和国が成立すると、再び赤・白・赤の三色旗正式な国旗として採用されました。これは市民の国、民主主義国家としての新しいスタートを象徴するものでした。

 

その後、ナチス・ドイツによる併合(1938〜45年)期間中はドイツの旗が使われましたが、1945年に三色旗が復活し、現在まで続いています。

 

まとめ:旗が伝えてくれるもの

オーストリアの国旗は、戦い・誇り・平和への願いが凝縮されたデザインです。赤は勇気と犠牲、白は清らかさと正義――それが繰り返し表現されることで、中世から現代まで続く国家の精神が一目で伝わるんですね。

 

シンプルだからこそ、見る人の心にまっすぐ届く。
この三色旗は、オーストリアという国がどんな時代を越えてきたのか、これからどうありたいのかを静かに語っているんです!