現代ヨーロッパ国旗情報:オランダ編

この記事ではオランダ国旗の由来や色の意味について解説しています。海洋国家としての歴史、市民革命との関わり、赤白青の変遷などに注目し、国旗に込められた国民の力と誇りについて詳しく探っていきましょう。

オランダ国旗の由来&色の意味|海洋国家の誇りと市民の力

オランダの国旗

 

国旗の基本情報

採用国 Netherlands(オランダ)
採用年 1937年(ウィルヘルミナ女王により正式制定)
縦横比 2:3
デザイン
  • 赤・白・青の水平三色旗
  • 17世紀のオランダ独立戦争時に登場した「プリンス旗」が原型
色の意味
  • 赤:勇気と力(もとはオレンジ色だったが後に赤に変更)
  • 白:平和と誠実
  • 青:自由と国民の忠誠
備考

世界最古の三色旗とされ、フランスやロシアの三色旗にも影響を与えた。
初期はオレンジ・白・青だったが、視認性の理由などから赤に変更された。

赤・白・青の三色で構成されたオランダの国旗。そのシンプルさと親しみやすさから、似たデザインの国旗も多く見かけますよね。でもこの旗、実はヨーロッパ最古のトリコロール(三色旗)とも言われていて、オランダという国が王政と市民社会のはざまで歩んできた歴史をそのまま表しているんです。この記事では、オランダ国旗の色の意味とその由来、似ている旗との違い、そして国の歩みとともに変化してきた旗の歴史をわかりやすくご紹介します。

 

 

オランダってどんな国?


オランダは西ヨーロッパに位置する海に囲まれた平坦な国で、正式名称はネーデルラント王国。首都はアムステルダム、政治の中心はハーグで、風車・チューリップ・運河など、のどかな景観と自由な文化で知られています。

 

歴史的にはスペインからの独立戦争(八十年戦争)を経て17世紀に“黄金時代”を迎え、世界屈指の海洋大国として繁栄しました。このとき育まれた自由と自治の精神が、今の国の姿や国旗にも反映されているんです。

 

国旗デザインの意味・由来

オランダの国旗は、赤・白・青の三色を横に並べたシンプルな構成。この配色は、国の政治的独立・市民社会の成立・海洋国家としての自負を象徴しています。

 

赤は自由のための戦いと団結

かつてはオレンジ色だったこの部分は、のちに赤に変更されましたが、その精神的な意味は変わらず、自由と独立のために立ち上がった国民の団結を象徴しています。

 

八十年戦争での戦いを経て共和制国家を築いたオランダの人々にとって、赤は誇りと勝利の色なんですね。

 

白は平和と寛容の心

真ん中の白は、中立・平和・寛容を表す色。宗教改革や独立戦争を経て、多様な信仰や意見を持つ人々が共に暮らしてきたオランダでは、この白が共存の象徴となってきました。

 

また、清らかな市民社会への理想も込められています。

 

青は海と商業、そして国際性

下の青は、北海や運河などの水とのつながりを示すとともに、オランダが海洋貿易国家として世界と関わってきた歴史を象徴しています。船乗りたちが遠く海へ出て、アジアやアメリカ大陸と交易していたその記憶が、この青に込められているんですね。

 

つまり、赤・白・青は「戦い・平和・交流」という、オランダの国家形成に不可欠な3つの柱を表しているとも言えるんです。

 

似てる国旗

デザイン 特徴
オランダ 赤・白・青の横三色。17世紀に成立した近代国旗の先駆けで、自由と独立を象徴し、多くの国に影響を与えた。
ルクセンブルク 赤・白・青の横三色で配色はオランダと同じだが、青がより水色に近く、縦横比も異なる。視覚的には酷似しているが、公式には別の旗として扱われる。
パラグアイ 赤・白・青の横三色、中央に国章が入り、裏面には異なる紋章を配置。オランダと同じ配色だが、中央の紋章と両面の異なるデザインでラテンアメリカ的独自性を持つ。
クロアチア 赤・白・青の横三色に中央の紋章。オランダと配色は同じだが、汎スラヴ色としての意味合いがあり、王冠を模した国章によって民族アイデンティティを強調している。
ロシア 白・青・赤の横三色。オランダの旗を参考にした構成だが、色の順序を変えたことで汎スラヴ色の原型となり、多くの東欧諸国に影響を与えた。

 

オランダ国旗は、シンプルな三色旗の元祖とも言われるため、似たデザインの国旗が世界中に存在します。
とくにルクセンブルクとの違いは色の濃さと比率で、遠目で見ると混同しやすいため注意が必要です。ちなみに、オランダのかつての旗「プリンスの旗(オレンジ・白・青)」も、現在の旗とよく比較される存在です。

 

国旗の変遷にみる国の歴史

オランダの国旗は、スペインからの独立や政治体制の変化に応じて色やデザインが少しずつ変化してきました。その歩みを見ることで、国旗がいかに国の成長とともにあったかが見えてきます。

 

16世紀、オレンジ・白・青の「プリンスの旗」が登場

最初に登場したのは、スペインに対抗して立ち上がったオラニエ公ウィレム1世を象徴する「プリンスの旗」。オレンジ・白・青の三色は、彼の家系の紋章カラーから来ていて、独立運動のシンボルとして掲げられました。

 

17世紀、赤に変更され今の旗へ

17世紀以降、オレンジが赤へと変化していきます。これは染料の安定性や視認性の問題があったためとも言われていますが、政治的な意味(王政への距離感)も含んでいた可能性があります。

 

このころから現在の「赤・白・青」の旗が事実上の国旗として広まり始めます。

 

1937年、三色旗が正式に国家旗に

長く慣習として使われていたこの三色旗が、正式に国の旗として定められたのは1937年。ウィルヘルミナ女王が公式に赤・白・青を国旗として布告し、それ以降変わることなく使われています。

 

今ではオランダ王国の自治領(キュラソー、アルバなど)でも、この旗が広く使われているんです。

 

まとめ:旗が伝えてくれるもの

オランダの国旗は、戦いと自由、市民の誇り、そして海洋国家の伝統が詰まった三色です。赤は独立の情熱、白は寛容な共存、青は国際的な広がり。

 

シンプルだけど、オランダという国の魂をまっすぐに表しているんですね。
旗を掲げるたびに、そこにあるのは市民による国の歩みと、世界とつながる国の意志なんです!