アルメニアの国旗
国旗の基本情報 |
|
---|---|
採用国 | Armenia(アルメニア) |
採用年 | 1990年(独立宣言に伴い採用、1991年独立後に正式化) |
縦横比 | 1:2 |
デザイン |
|
色の意味 |
|
備考 |
旧ソ連からの独立時に再び採用された旗。 |
赤・青・オレンジの三色で構成されたアルメニアの国旗。いかにも温かみのある配色に見えますが、実はこの色使いには、アルメニアという国が経験してきた深い苦難と、そこから生まれた希望が込められているんです。民族としての強いアイデンティティと未来へのまなざしが混ざり合い、シンプルながらとても“語る”国旗なんですよ。この記事では、そんなアルメニア国旗の色やデザインの意味、似ている国旗との違い、そして歴史をたどる変遷について解説していきます。
アルメニアは、コーカサス地方に位置する内陸国で、トルコ、グルジア(ジョージア)、アゼルバイジャン、イランなどと国境を接しています。首都はエレバンで、人口はおよそ280万人ほど。世界でも最も古いキリスト教国家のひとつとして知られていて、宗教や文化に対する誇りがとても強い国です。
ただ、アルメニアの歴史は侵略・迫害・虐殺といった苦しい経験に満ちており、特に20世紀初頭のアルメニア人虐殺は今も大きな傷跡を残しています。そんな民族の歴史と精神が、この三色の旗にも込められているんです。
アルメニアの国旗は、上から赤・青・オレンジの横三色。この配色は、民族の過去・現在・未来を静かに物語るような色たちなんです。
赤は、アルメニア人が自由と生存のために流した血を象徴しています。これは戦争だけじゃなく、迫害や虐殺を含む民族の苦難の記憶ともつながっています。
また、それだけじゃなくて、独立への強い意志や、国家の持続的な存在そのものを示しているとも言われているんです。
中央の青は、アルメニアの国民が平和の中で暮らすことへの願いを表しています。空のように広く穏やかな日常、当たり前の幸せ。それがどれだけ尊いものか、長い苦難を経てきたからこそ強く願われている色なんですね。
現実の空と理想の心の空、どちらの意味も込められているとされます。
一番下のオレンジは、国民の働きぶりや創造力を象徴しています。農業や工芸など、地に足をつけて生活を支える力がこの色に込められているんです。
赤や青がやや抽象的な「精神」や「信仰」を表すのに対して、オレンジはもっと具体的な生活の土台に近い意味合いを持っているのが特徴です。
アルメニア国旗と配色が似ている国としてよく挙げられるのがコロンビアです。ただし、色の順番も意味合いもぜんぜん違うので、間違えないようにしたいですね。
また、近隣のアルツァフ共和国(旧ナゴルノ=カラバフ共和国)の旗も、アルメニア国旗にそっくりですが、右側に白い矢印のようなジグザグ模様が入っているのが特徴。これは「アルメニアと自分たちはひとつだ」という連帯の意思を示しているんです。
似ているけれど、それぞれがちゃんと自分の歴史や立場を旗に刻んでいるんですね。
アルメニア国旗は、ソ連時代や独立後の流れの中でいくつか変化を経験しています。今の三色旗がいつどうして誕生したのか、流れを見ていきましょう。
第一次世界大戦後の1918年、アルメニアは一時的に独立国家として誕生します。そのとき採用されたのが、現在と同じ赤・青・オレンジの三色旗。これは民族のアイデンティティを表す旗として、アルメニア人の間でとても大切にされました。
その後、1920年にアルメニアはソビエト連邦に併合されます。このとき国旗は、典型的な共産主義スタイル(赤地に鎌と槌)へと変わりました。民族の色ではなく、ソ連の思想を象徴する旗になってしまったんですね。
この時代、三色旗は公式には使えませんでしたが、心の中ではアイデンティティの象徴として覚えられ続けていたんです。
1980年代末からソ連の崩壊が始まり、アルメニアでも民族独立の気運が高まります。そして1990年、三色旗が再び公式に採用され、1991年の完全独立とともに国家のシンボルとして正式に定着しました。
この旗は単なるデザインじゃなく、再び立ち上がった民族の証なんです。
アルメニア国旗に込められた意味は、とても静かで、でも芯が強いものばかりです。赤は流された血と生存の誇り、青は平穏な日常への願い、オレンジは働く力と創造の未来。
この三色は、アルメニアという国の過去・現在・未来を語ってくれているんですね。
国旗を見ることで、その国がどんな困難を乗り越え、どんな明日を描いているのかが見えてくる。アルメニアの旗は、まさに民族の記憶と希望の象徴です!