現代ヨーロッパ国旗情報:クロアチア編

この記事ではクロアチア国旗の由来や色の意味について解説しています。赤白青のスラヴ的伝統、中央の紋章の歴史的背景、独立国家としての象徴などに注目し、国旗に込められた民族の誇りについて詳しく探っていきましょう。

クロアチア国旗の由来&色の意味|独立の誇りと歴史を刻む赤白青

クロアチアの国旗

 

国旗の基本情報

採用国 Croatia(クロアチア)
採用年 1990年(ユーゴスラビアからの独立に先立ち採用)
縦横比 1:2
デザイン
  • 赤・白・青の水平三色旗の中央に、伝統的なチェッカー模様の紋章(シャホフニツァ)と王冠型の五つの地方紋章を配置
  • 三色は汎スラヴ色であり、クロアチアの国家的伝統を反映
色の意味
  • 赤:独立と戦いの歴史
  • 白:平和と純潔
  • 青:自由と希望
備考

中央の赤白のチェッカー柄は中世からの国章で、クロアチア民族の象徴。
上部の五つの小紋章は歴史的な五地域(クロアチア、ドゥブロヴニク、ダルマチア、スラヴォニアなど)を表す。

赤・白・青の三色に、中央には存在感抜群の“赤と白の市松模様”の紋章――クロアチアの国旗って、色もデザインもとっても印象的ですよね。でもこの旗、ただオシャレなだけじゃなくて、民族の誇り・自由への願い・そして長い歴史の積み重ねがぎゅっと詰まってるんです。この記事では、クロアチア国旗の色と紋章の意味、その由来や背景、他国との違いなどを、やさしく解説していきます。

 

 

クロアチアってどんな国?


クロアチアは、アドリア海に面したバルカン半島の西側にある国で、美しい海岸線と中世の街並みで知られています。首都はザグレブで、観光地としても大人気の国ですね。

 

でも、そんな穏やかなイメージとは裏腹に、クロアチアは複雑な歴史をくぐり抜けてきた国。かつてはハンガリー、オーストリア、そしてユーゴスラビアの一部として過ごし、1991年にようやく独立国家として歩みを始めました。

 

そんな背景があるからこそ、国旗にも独立への誇りと民族の象徴がはっきり表れているんです。

 

国旗デザインの意味・由来

クロアチア国旗は、赤・白・青の横三色中央の紋章が組み合わさったデザイン。色の選び方にも、紋章にも、しっかりと意味が込められています。

 

赤・白・青は汎スラブ色

まず横三色の赤・白・青は、東ヨーロッパの多くの国で見られる汎スラブ色です。スラブ民族の団結や共通性を象徴していて、ロシアやセルビア、スロバキアなどにも共通するカラーなんですね。

 

ただし、クロアチアではこの三色がさらにそれぞれ特別な意味を持っているとされていて、

 

  • 赤:自由のために流された血
  • 白:平和と清らかさ
  • 青:誠実、忠誠、そして国の美しい空と海

 

という風に、クロアチア独自の解釈も重ねられています。

 

中央の市松模様は“クロアチアそのもの”

真ん中にある赤と白のチェッカーパターンの紋章は、「シャンボ(Šahovnica)」と呼ばれ、クロアチアの象徴です。これは中世から使われていた紋章で、「クロアチア=赤白市松模様」と言ってもいいくらい、国民にとって馴染み深いデザインなんです。

 

ちなみに、左上が赤から始まっているのは、歴史的な伝統によるもの。逆のパターン(白始まり)は別の意味を持つため、公式な国旗では必ず赤から始まるよう定められています。

 

上部の冠型デザインは5つの地域の象徴

紋章の上に並ぶ5つの小さな盾は、クロアチアの歴史的な地域や王国を表しています。

 

  • 左端:クロアチア本土
  • 左中:ダルマチア地方(アドリア海沿岸)
  • 中央:スラヴォニア地方(内陸)
  • 右中:イストリア半島
  • 右端:ドゥブロヴニク共和国(旧市国家)

 

この“冠”のような部分は、「ひとつの国家の中に、豊かな地域の歴史が共存している」というメッセージになっているんです。

 

似てる国旗

デザイン 特徴
クロアチア 赤・白・青の横三色。中央に5つの紋章から成る王冠型の国章があり、汎スラヴ色に民族的多様性と歴史を重ねて表現している。
セルビア 赤・青・白の横三色。クロアチアと配色は同じだが順序が異なり、左寄りに双頭の鷲の国章を配して王権と正教の伝統を強調している。
スロバキア 白・青・赤の横三色。クロアチアと配色は同系統だが、国章には十字架と山のモチーフが入り、宗教と自然を重視した構成となっている。
ロシア 白・青・赤の横三色。クロアチアと同じ色を使い、順序もスロバキアと同じだが、通常は国章が描かれない。汎スラヴ色の起源とされ、他国の旗に影響を与えた。

 

クロアチア国旗は、ぱっと見、似ている国旗がいくつかありますが、紋章の有無やデザインの違いで見分けがつきます。
クロアチア国旗の市松模様の紋章+5つの王国マークはかなり特徴的なので、他国と並べても見間違えることはほとんどありません

 

国旗の変遷にみる国の歴史

クロアチアの国旗は、王国・帝国・ユーゴスラビアと支配者が変わるたびにその姿を変えてきた旗でもあります。現在のデザインに落ち着くまでの歩みには、民族の葛藤と希望が刻まれているんです。

 

中世〜近世:赤白市松模様は紋章として使用

赤白のチェッカー模様は、13世紀頃からクロアチア王国の紋章として使われていました。ただし国旗という形ではなく、王家の紋章や軍旗、印章として使われていたんですね。

 

オーストリア=ハンガリー帝国時代は統一旗

19世紀には、オーストリア=ハンガリー帝国内でハンガリー王冠領の一部として統一されたデザインの旗が使われましたが、赤白青の配色や市松模様は民族的象徴として維持され続けました。

 

ユーゴスラビア時代~独立で現在の旗へ

ユーゴスラビア時代(1945~1991)は、赤白青の三色旗に赤い星が中央に描かれていました。これは共産主義を象徴するもので、旧体制の象徴でもありました。

 

1991年の独立と同時に、赤い星を外し、クロアチア紋章と5つの歴史的地域の盾を冠として加えた現在のデザインが正式に採用されたんです。

 

まとめ:旗が伝えてくれるもの

クロアチアの国旗は、民族の誇り・歴史の記憶・地域の多様性を美しく表したデザインです。赤・白・青の三色に、市松模様の紋章、そして王国の記憶を刻んだ5つの盾。

 

この旗を見るだけで、クロアチアがどれだけ多くの時代と戦いを乗り越えてきたのか、そしてどれほど独立と自由を大切にしているのかがしっかり伝わってくるんです。

 

まさに、国そのものを物語る旗――それがクロアチア国旗の魅力なんですね!