イギリスの国旗
国旗の基本情報 |
|
---|---|
通称 | ユニオンジャック |
採用国 | United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国) |
採用年 | 1801年(アイルランド連合時に現在のデザインが成立) |
縦横比 | 1:2 |
デザイン |
|
色の意味 |
|
備考 | ウェールズはユニオンジャックの構成に含まれていない。 |
赤と白、青を組み合わせた十字の重なり――イギリスの国旗、通称ユニオンジャックは、世界でもっとも認知度の高い国旗のひとつです。でもこの旗、ただのデザインではなく、かつて別々だった国々がひとつになった歴史をそのまま象徴しているって知っていましたか?この記事では、イギリス国旗に込められた意味とその成り立ち、似た旗との違い、そして歴史を背景にした変遷をやさしく解説していきます。
イギリス、正式にはグレートブリテン及び北アイルランド連合王国。つまり、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドから成り立っている連合国家です。首都はロンドンで、かつては大英帝国として世界中に影響力を持っていました。
でも、もともとこの地域は別々の王国だったんです。言語も文化も違っていたそれぞれの国が、戦いや条約、王位継承などを通じてひとつの王国へと統合されていった歴史があります。
そんな複雑な構成を、視覚的に一発で示しているのが、あのユニオンジャックなんです。
現在のイギリス国旗は、3つの異なる国の象徴的な十字を組み合わせて作られています。バランスよく重ねられたこの十字模様には、それぞれにちゃんと意味と背景があるんですよ。
まず最初に取り入れられたのが、イングランドの守護聖人である聖ジョージ(聖ゲオルギウス)の旗。白地に赤い縦横の十字は、イングランドの国旗そのものとして今でも使われています。
これは中世の十字軍の時代から使われていたデザインで、勇気と正義の象徴とされています。
スコットランドの象徴である聖アンドリューは、斜めの十字(X字型)で表現されます。青い背景に白い斜め十字の旗は、スコットランド単独の国旗としても今なお使用されています。
この十字がイングランドの旗と組み合わされて、1606年に最初の「ユニオンフラッグ」が誕生しました。
赤い斜め十字は、アイルランド(特に北アイルランド)の守護聖人聖パトリックを象徴するもの。1801年、アイルランドが正式にイギリスに統合されたときにこの十字が追加されて、今の形のユニオンジャックが完成しました。
ちなみに、ウェールズの旗はユニオンジャックには入っていません。それはすでにイングランドに統合されていたため、別の要素として取り入れられなかったんですね。
ユニオンジャックはかなり独特なデザインなので、似ている国旗は少ないんですが、実はかつてのイギリス領だった国や地域の旗には、アレンジ版のユニオンジャックが含まれていることが多いです。
オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、ツバルなどの国旗を見ると、イギリスとの歴史的つながりが旗にも残っていることがよくわかります。
ユニオンジャックは、一度に作られたわけではなく、イギリスという国の広がりや統合のプロセスにあわせて、少しずつ進化していった旗なんです。
スコットランド王ジェームズ6世がイングランド王位を継承し、1603年に両国の王を兼ねる形に。その後1606年に、イングランドとスコットランドの十字を組み合わせた旗が作られ、これが最初のユニオンフラッグとなります。
1707年には両国が正式にグレートブリテン王国として統合され、ユニオンフラッグが正式な国旗として採用されました。この段階ではまだ、アイルランドの十字は入っていません。
1801年、アイルランドが連合王国に加わったことで、赤い斜め十字(聖パトリックの十字)が加わり、現在のデザインが完成します。つまり、現在のユニオンジャックは1801年からの姿なんですね。
イギリス国旗、ユニオンジャックは、ただのデザインではなく、複数の王国がひとつになってできた国の記憶を重ねた旗です。
イングランドの赤十字、スコットランドの白X字、アイルランドの赤X字――それぞれが自分たちのアイデンティティを保ちつつ共存するという、多様性と統一の象徴でもあります。
この旗を見れば、イギリスという国がどうやって「連合王国」になったのかが一目でわかる。国旗は、まさに歴史を語る「視覚の年表」なんですね!