スイスの国旗
国旗の基本情報 |
|
---|---|
採用国 | Switzerland(スイス) |
採用年 | 1889年(現在のデザインを正式採用) |
縦横比 | 1:1(正方形) |
デザイン |
|
色の意味 |
|
備考 |
世界でも珍しい正方形の国旗で、国際赤十字の旗(赤十字)はスイス国旗を反転したもの。 |
赤地に白い十字――スイスの国旗は、形も配色もシンプルだけど、世界で最も印象的な国旗のひとつとも言われています。しかもこの旗、世界でも珍しい正方形の国旗なんです。でもそれ以上に注目すべきなのは、この旗に込められた中立・平和・団結の精神。この記事では、スイス国旗のデザインの意味や由来、似ている国旗との違い、そして長い歴史のなかでどう使われてきたのかをやさしく解説します。
スイスは、ドイツ・フランス・イタリア・オーストリア・リヒテンシュタインに囲まれたアルプス山脈の国で、美しい自然やチョコレート、精密機器などでも知られています。首都はベルン、公用語は4つ(ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語)あり、まさに多言語・多文化の共存国家です。
また、スイスといえば永世中立国として有名ですよね。戦争に巻き込まれない姿勢、国際機関の本部が集まる平和国家としての立ち位置も、国旗にしっかり反映されているんです。
スイス国旗は、赤地に白いギリシャ十字(横・縦が同じ長さ)を中央に配した正方形の旗。とてもシンプルな構成ですが、その中には独立・信仰・中立というスイスの核心が込められています。
中央の白い十字は、キリスト教への信仰を表しています。中世のスイスで、各地の州が連帯していた時代、戦場で味方を見分けるために兵士の甲冑や旗に白い十字を入れていたのが始まりとされています。
この十字は、「共に戦う仲間のしるし」でもあり、今では国の団結と助け合いの精神を象徴しています。
背景の赤色は、勇気・自由・独立の象徴です。特にスイスが中世から近代にかけて外敵から自国を守り抜いてきた歴史や、傭兵として名を馳せたスイス兵たちの勇敢さを象徴する色とされています。
また、赤と白のコントラストは識別性が高く、山岳地帯でも視認性に優れているという実用的な意味もあるんです。
スイス国旗は世界で唯一の正方形国旗(例外はバチカン)。これは安定・均衡・中立性を象徴しているとも言われています。
つまり、「どの方向にも偏らない」「どこから見ても同じ」という形自体が、中立国スイスの姿勢を体現しているんですね。
スイス国旗に似ているデザインとしてすぐに思い浮かぶのが「赤十字」の旗。これはスイス国旗の配色を逆にしたもので、ジュネーヴ条約を起点とした国際人道機構の象徴。スイス発祥であることから、中立性・救済の精神をスイス国旗にちなみ、逆配色で作られたんです。
スイス国旗のルーツは中世にまでさかのぼります。戦場での識別、信仰、そして国家統一の象徴として変化しながら、現在の形にたどり着きました。
最も古い記録はウーリ州やシュヴィーツ州の兵士が赤い衣に白十字を身につけたという13世紀の記録。これは戦場での味方識別のためのマークで、十字がキリスト教の加護も表していました。
ナポレオン戦争の終結後、スイスはウィーン会議において永世中立国として承認されます。このころから、赤地に白十字が国家のシンボルとして広く使われるようになりました。
1889年、スイス連邦は赤地に白のギリシャ十字、かつ正方形の国旗を正式に制定。それ以降、現在まで形を変えることなく「中立の象徴」として世界に知られる存在となりました。
スイス国旗は、中立・団結・信仰・勇気といったスイスの価値観をストレートに表現したデザインです。白い十字は連帯と信仰、赤は独立の誇り。そして正方形の形が、どの国にも偏らない中立の姿勢を物語っています。
小さな国でも、強く、美しく、誇り高く――。
この旗は、スイスが長い歴史の中で守り続けてきた理念そのものなんですね!