現代ヨーロッパ国旗情報:アルバニア編

この記事ではアルバニア国旗の由来や色の意味について解説しています。双頭の鷲の歴史的背景、赤と黒の象徴、独立運動との関わりなどに注目し、国旗に込められた民族の誇りについて詳しく探っていきましょう。

アルバニア国旗の由来&色の意味|独立の闘志と民族の誇り

アルバニアの国旗

 

国旗の基本情報

採用国 Albania(アルバニア)
採用年 1992年(共産政権崩壊後に現在のデザインを再採用)
縦横比 5:7
デザイン
  • 赤地に黒の双頭の鷲を中央に描いたデザイン
  • 15世紀の民族的英雄スカンデルベグの象徴を受け継いだもの
色の意味
  • 赤:勇気・強さ・自由のために流された血
  • 黒:独立と民族の誇りを象徴する双頭の鷲
備考

双頭の鷲は東ローマ帝国やスカンデルベグ家の象徴としても知られる。
共産時代には星が加えられていたが、現在は除去されている。

真っ赤な背景に、黒い双頭のワシ――アルバニアの国旗は、世界の国旗の中でもとくに力強い印象を与えるデザインです。この旗には、何百年にもわたる独立への闘い、そして民族としての誇りがぎゅっと詰め込まれているんです。色とシンボルに込められた意味はとても深く、アルバニアという国の“魂”そのものとも言える存在。この記事では、そんなアルバニア国旗のデザインの由来や歴史的背景、似ている旗との違いについて、わかりやすく紹介していきます。

 

 

アルバニアってどんな国?


アルバニアは、ヨーロッパ南東部のバルカン半島にある国で、北はモンテネグロ、西はアドリア海に面しています。首都はティラナで、人口はおよそ280万人ほど。自然が豊かで、美しい山や海が広がる国なんです。

 

でもこの国、歴史を振り返るとずーっと「支配される側」であることが多かったんです。オスマン帝国に長いこと支配されたり、共産主義政権のもとで孤立したり……。それでも独立の意志を強く持ち続けた国なんですよ。

 

そんな歴史背景が、あの力強い赤と黒の国旗にしっかりと刻まれているんです。

 

国旗デザインの意味・由来

アルバニア国旗は、赤地に黒の双頭のワシという、とても印象的なデザインです。ちょっと怖いくらい迫力があるんですが、それにはちゃんと理由があります。

 

赤は「自由のために流された血」

赤い背景は、自由と独立のために戦った人々の血を象徴しています。アルバニアは長く外国勢力の支配下にあり、その中で民族としての誇りを守るために、何度も命を懸けた戦いがあったんです。

 

だからこの赤には、単なる情熱や勇気だけでなく、犠牲と闘志が込められているんですね。

 

黒の双頭のワシは“民族の守護者”

中央に大きく描かれている双頭のワシは、アルバニア民族の独立・統一・誇りの象徴です。これは中世の英雄スカンデルベグが使っていた紋章が元になっていて、彼の戦いがいまの国の土台になっていると言われています。

 

2つの頭は東西両方の世界を見渡す視野の広さを表しているという説や、国家と教会の二つの力を象徴するという説もあります。

 

どちらにしても、このワシは国民の魂を守る存在として、ものすごく大切にされているんです。

 

似てる国旗

デザイン 特徴
アルバニア 赤地に黒の双頭の鷲(民族独立と戦いの象徴で、中世スカンデルベクの旗を継承)
モンテネグロ 赤地に金の縁取り、中央に王冠付きの双頭の鷲の国章。アルバニアと同じく双頭の鷲を使うが、金色を基調とし、王権やビザンティン継承の意味合いが強い。
ロシア帝国(1914–1917) 第一次世界大戦中のロシア国旗が描かれたポストカード

 

アルバニアの国旗はかなり独特なので、似ている国旗ってそんなに多くはありません。でも、ちょっとだけ共通点のある旗も存在します。

 

たとえばモンテネグロの国旗には、やはり双頭のワシが描かれています。ただし、モンテネグロのワシは金色で背景は赤+縁取りつきなので、全体の雰囲気はかなり違います。

 

またロシア帝国時代の第一次世界大戦中に使われた旗にも双頭のワシがあるんですが、こちらはもっと豪華で王冠付きのデザインでした。

 

やっぱりアルバニアの旗は、あの赤と黒のストイックさが際立っていて、唯一無二の存在感がありますね。

 

国旗の変遷にみる国の歴史

アルバニアの国旗は、見た目こそ大きく変わっていませんが、時代ごとにちょっとずつ装飾や意味合いが変化してきたんです。そこからも、国の歩みが見えてくるんですよ。

 

中世、スカンデルベグの紋章が原型に

15世紀、オスマン帝国と戦った英雄スカンデルベグが使っていたのが、まさに黒い双頭のワシの紋章。この時代にはまだ国旗という概念はありませんでしたが、のちにこのワシが民族の象徴として定着していきました。

 

彼の存在がいまでも国民的ヒーローとして語り継がれているのも納得です。

 

1912年、独立とともに国旗に

アルバニアがオスマン帝国から独立を果たした1912年、正式に赤地に黒い双頭のワシが国旗として採用されます。これはスカンデルベグの精神を引き継ぐ形で、民族の誇りを掲げる旗としての意味が強かったんですね。

 

共産主義時代は星マークが追加

第二次世界大戦後、アルバニアは共産主義国家となり、国旗の上部に黄色い星が加えられました。これは共産主義を象徴するマークで、ソ連や中国の旗と共通するデザインですね。

 

ただし、1992年の体制転換で星は削除され、再び現在のシンプルなデザインに戻っています。

 

まとめ:旗が伝えてくれるもの

アルバニアの国旗は、その見た目の強さと同じくらい、歴史と誇りの重みが詰まっています。赤は自由のために戦った血、黒いワシは民族を守る象徴。どちらも生き残るために闘い続けた国民の覚悟を表しているんです。

 

旗を見れば、その国の“生き方”が見えてくる。アルバニアの旗は、ただのシンボルじゃなく、歴史の叫びを今に伝える、力強いメッセージなんですね!