ヨーロッパの国旗入門

ヨーロッパの国旗に見られる特徴やそれにもとづく分類、共通点の理由について、歴史的背景や文化の違いを交えてまとめています。なぜ似たデザインが多いのかを探っていきたいと思います。

ヨーロッパ国旗の特徴・分類|共通点が多い理由とは?

 

「なんかヨーロッパの国旗って、似たようなの多くない?」って思ったこと、ありませんか?たとえば十字架が入ってたり、赤・白・青の三色だったり、動物がいたり…。実はこれ、偶然じゃないんです。

 

長い歴史の中でヨーロッパの国々が共通の文化や出来事を経験してきたからこそ、国旗にも似たような特徴が現れるんですね。

 

この記事では、そんなヨーロッパ国旗の「似ている理由」と「そこに込められた意味」について、いっしょに見ていきましょう!

 

 

国旗とは何か

 

国旗っていうのは、その国の歴史・文化・価値観を象徴する、大事な“しるし”です。単なるデザインじゃなくて、「私たちはこういう国です」って世界に伝えるメッセージがこもってるんですね。

 

色にも形にも意味があって、それぞれがその国らしさを表しています。だからこそ、国旗を見て、その色形の由来に触れるだけでも、その国のことがちょっとわかった気になれる――そんな存在なんです。

 

ヨーロッパにおける国旗の歴史

ヨーロッパでは、今みたいな「国全体の旗」が生まれるまでに、けっこう時間がかかっています。最初はもっと“限定的な旗”として使われていました。

 

中世では「王様や騎士の旗」だった

国旗の前身は、戦場で誰がどこにいるか見分けるための旗でした。 王様や貴族、騎士団ごとに旗があって、「あの旗は〇〇家だ!」みたいに識別に使ってたんです。

 

つまり国じゃなくて“人”の旗だったんですね。

 

十字軍と宗教の旗

11世紀ごろから始まった十字軍では、キリスト教を象徴する十字架が使われるようになります。これは「聖なる戦いだ!」っていう意味を込めたもので、このあと、いろんな国の国旗にも宗教的なシンボルが自然に入り込むようになります。

 

近代に入って「国の旗」へ

フランス革命(18世紀)やナポレオン時代をきっかけに、「国民国家」という考えが広まっていきます。 ここで初めて、国民全体を代表する旗=国旗が生まれはじめたんですね。

 

それまでの「王様の旗」から、「みんなの旗」にバトンタッチされた瞬間です。

 

『バスティーユ襲撃』/1789年作
フランス革命の発端となったバスティーユ襲撃の様子を描いた作品

出典:Creative Commons Public Domainより

 

ヨーロッパの国旗にみられる共通点

さて、ここからが本題です! ヨーロッパの国旗には、なぜこんなに似てるものが多いのか? それにはちゃんと理由があるんです。共通する歴史、宗教、文化――そこをひもといていくと、旗の世界がぐっと面白く見えてきます。

 

十字架

アイスランド国旗
アイスランド
イギリス国旗
イギリス
イングランド国旗
イングランド
ギリシャ国旗
ギリシャ
ジョージア国旗
ジョージア
スイス国旗
スイス
スウェーデン国旗
スウェーデン
スコットランド国旗
スコットランド
スロバキア国旗
スロバキア
デンマーク国旗
デンマーク
ノルウェー国旗
ノルウェー
フィンランド国旗
フィンランド
マルタ国旗
マルタ
セルビア国旗
セルビア

 

まずはなんといっても十字架。スカンジナビア半島の国々(デンマーク、スウェーデン、ノルウェーなど)には、よくある「北欧十字」ってデザインがあります。
これはキリスト教のシンボルで、「信仰が国の中心です」というメッセージを込めて使われています。中世にキリスト教がヨーロッパに広まった名残が、今でも旗にしっかり残ってるんですね。

 

色って当たり前にあるようで、めちゃくちゃ意味があるんです。ヨーロッパの国旗でよく見かけるのが「赤」「白」「青」あたり。これは自由・平等・博愛を表したり、革命・独立・勇気の象徴だったりします。

 

三色旗

イタリア

フランス

アイルランド

ハンガリー

ブルガリア

ルーマニア

オランダ

ルクセンブルク

オーストリア

スロベニア

モルドバ

アルメニア

アゼルバイジャン

 

フランス国旗の影響で一気に広まった三色旗(トリコロール)。 赤・白・青の配色はフランス革命の理念を象徴していて、そのあとイタリアやオランダなど、いろんな国が「ウチもその流れでいきます!」って感じで取り入れていきました。

 

二色旗

ポーランド

モナコ

ラトビア

サンマリノ

マルタ

バチカン

ウクライナ

オーストリア

スイス

 

二色旗は、もっとシンプルにして「団結」「民族性」「独立の象徴」をアピールするのに使われました。たとえばポーランドの赤と白、ウクライナの青と黄などが有名ですね。二色でも十分に強いメッセージを込められるっていうお手本です。

 

動植物


アルバニア

モンテネグロ

セルビア

モルドバ

アンドラ

スペイン

ウェールズ

 

ライオン、ワシ、ドラゴン…国旗に登場する動物たちも見逃せません。これは王家の紋章や伝説の生き物が由来になっていて、「力強さ」「勇気」「守護」などの意味を持っています。植物では、オリーブや月桂樹なんかが平和や勝利の象徴として描かれたりしますよ。

 

王冠・紋章


スペイン

アンドラ

リヒテンシュタイン

サンマリノ

モルドバ

モンテネグロ

セルビア

バチカン

ポルトガル

 

一部の国旗には、その国の王家や貴族の紋章がドーンと描かれています。たとえばスペインやモナコ。こういう旗は、「ウチは伝統ある国ですよ!」って主張しているわけです。中世の旗の名残を、しっかり現代に引き継いでいるタイプですね。

 

ヨーロッパの国旗から得られる教訓

ヨーロッパの国旗を見ていくと、「似てるけど、ちゃんと違う」という不思議なバランスが見えてきます。共通の歴史や文化を持ちながら、それぞれが自分たちの物語をどう表現するかにこだわってきたんですね。

 

つまり国旗って、「違いを楽しみつつ、つながりも感じられる」すごく奥深い世界なんです。似てるからこそ気づける違いがあって、違うからこそ感じられる歴史の重みがある。

 

ヨーロッパ国旗は、過去と今、そして他国との関係まで教えてくれる、ちっちゃなタイムカプセルみたいな存在なんです。